073.花の無い草

「こんにちは」
「え…あぁ、レオナルドさん。いらっしゃったんですね」
「はい。白蘭様にお聞きしたいことがあって…でも、お留守のようですね」
「半時間ほどでお戻りになりますよ。待たれますか?」
「では…お邪魔します」

「ごめんなさい。勝手に紅茶にしてしまいましたけれど…」
「いえ、お構いなく!先輩にそんなことをしてもらうなんて…」
「クスクス…何ですか、その先輩って。ところで、何を熱心に?」
「いえ、クローバーの栞を見つけたので…。お好きなんですか?」
「…えぇ、そうですね。嫌いではありませんよ」
「………白蘭様からの?」
「え?」
「あ、違っていたらすみません。何となく、そんな気がして…」
「…間違いではありませんよ。これは、白蘭様からいただいたものですから」

「…とても、大切にしているんですね」
「ええ」
「………あなたの眼差しは、部下としてではなく…寧ろ、恋しい人でも見つめるようですね」
「―――そうですか?もちろん、白蘭様のことはボスとしてお慕いしています」
「…あなたは―――」
「ただいまー。あれ、レオくん来てたんだ」
「お帰りなさい、白蘭様」
「うん、ただいま。ちょっとレオくんと話して来るから、その間に何か淹れておいて?」
「わかりました」
「レオくん、こっち」
「あ、はい。紅茶、ご馳走様でした。…失礼します」


「恋しい人…ね。侮れない、と言うべきなのかしら…」

骸(レオナルド・リッピ) / 百花蜜

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08.08.21