068.電話越しの君

「珍しいわね、イルミが仕事先に電話をかけてくるなんて」
『そう?』
「そもそも、あまり電話もしてくれないじゃない。寂しいのよ、これでも」
『声が笑ってるよ。そんな寂しがるような性格でもないでしょ?』
「あら、そんなのわからないじゃない。
電話って言うのは、顔が見えない分違った一面が見えてくるものよ」
『見えないけどね』
「物の例え!」
『それより、いつ帰ってくるの?』
「…一週間後になるわね。何もなければ、だけど」
『じゃあ、三日で帰ってきて』
「…イルミ?
何もなければって言うのは、予想外の出来事がなければその期間で帰れるって事よ?」
『仕事の予定だけは狂わせないからね。予想外の出来事なんてないよ』
「そう信頼してもらえるのは嬉しいけれど…」
『だから、三日で帰ってきて』
「…何でそう繋がるの?」
『四日後にパーティーがあるんだって』
「へぇ、そうなの。でも、イルミはいつものように不参加でしょう?」
『そのつもりだったんだけどね。母さんから参加するように言われてるから』
「それで、どうして私が関係するのかしら?」
『面倒だから』
「…人の迷惑を考えない人ね、あなたも」
『今更遠慮の要る関係でもないでしょ』
「………ま、問題がなければ、一応間に合うように頑張ってみるわ」
『用意はこっちで済ませておくって、母さんが』
「……キキョウさんが動いてるなら、間に合わないって言う選択肢がないと思うんだけど」
『ないね、恐らく』
「……了解。間に合わせるわ。とりあえず、派手すぎるドレスだけは避けておいて」
『まぁ、その程度ならやっておいてあげるよ』
「…私が手伝ってあげる側なんだから、態度が逆だと…」
『頼むの?俺が?低姿勢に?』
「…………………想像できないから、諦めるわ」
『それが利口だと思うよ。――――…』
「イルミ?」
『仕事は終わったの?』
「えぇ。もう終わったから、片付けだけが残っている状態だけど…?」
『…早く帰ってきなよ』
「もう。何度も念を押されなくても、ちゃんと帰るわよ。約束は守るわ」
『そうじゃない。…だから電話って嫌いなんだよ』
「?」
『…何でもないよ。じゃあね』

「待って、イルミ―――って、切れた。…何が言いたかったのかしら?」

イルミ=ゾルディック / Free

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08.09.02