061.地図を広げて

「蔵馬、ここから先は未開の場所よ」
「探索隊を派遣していなかったか?」
「していない…と言うよりは、完了していないと言うべきかしら。空白だから」
「どれ…あぁ、本当だな。ここは確か…」
「三番隊に任せたのだけれど、今も尚戻ってこないのよね…可哀想な事をしたわ」
「三番の連中は若かったからな…仕方ない」
「で、どうする?先に進むと言うのならば、結界を用意するけれど」
「あぁ、頼む。生きている可能性も捨てきれないからな」
「散歩ついでの地図の確認の最中に思い出すなんて…幸か不幸かわからないわね」
「生きていれば幸に決まってる。行くぞ」
「ええ」
「油断するなよ。あいつらも弱くはなかったからな」
「大丈夫―――蔵馬、止まって」
「…どうした?」
「…結界ね。これは……………妖狐の物のようね」
「同類か?」
「いいえ、九尾のものじゃないわ。まだまだ未熟。…子供ね」
「………どうする?」
「三重の結界を見る限り、酷く怯えているようだから…。
本当なら、そっとしておいてあげたいけれど…」
「…踏み込んだあいつら自身の責任でもある。気にするな」
「じゃあ…お願い、してもいいの?」
「俺が断るとでも?」
「ありがとう」
「地図を貸せ。消しておく」
「ええ。妖狐の子がこちらに干渉してこないように、結界を残しておくわ」
「そうだな。ほら、次はどこだ?」
「えっと…近いところは…谷の方に行きましょうか。それとも、どこか希望が?」
「いや、どこでも良い。行くぞ」
「っと。もう…強く引っ張らなくてもちゃんと付いていくわよ、蔵馬」

妖狐蔵馬 / 悠久に馳せる想い

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08.08.