057.小さい頃は

「実は凄く大事に…人形みたいに育てられてたのよ、これでも」

子供の頃の話題になって、ふとそう言った。
周囲の反応は、まるで信じられないようなものを見たかのようなそれ。

「今となっては想像できないのも無理はないけど…。本当に、過保護すぎるような親だったから」

笑って思い出せるようになっただけでも、十分成長したのではないだろうか。

「小さい頃かー…きっと、可愛かったんでしょうね」

そう言ってニコリと微笑んだアレン。
君の笑顔の方が可愛いよ、と思ったけれど、一応飲み込んでおく。
優しく、線の細い彼だけれど、立派に男の子だ。
可愛い、と言われても、きっと素直に喜べないだろう。

「写真とかねぇの?」
「写真、ねぇ…。自分の子供の頃の写真を持ち歩くほどナルシストじゃないからなー…」

こちらの世界に来た時に持っていたものと言えば、銀時計と手帳だけ。
その手帳に自分の子供の頃の写真が挟んであるような幸運はない。

「私、戦争孤児なの」

突然の告白に、一同が口を噤む。

「二人がまだ恋人だった頃に出会って、結婚と同時に養子に迎えてくれた」
「そう…だったんだ…」
「リナリー、そんな顔しないで?私は孤児だったことを幸せに思っているのよ」

そのお蔭で、優しい彼らと出会うことが出来たのだから。
シュン、とまるで自分のことのように肩を落とすリナリーの頭を撫でる。

「初めはさ…やっぱり、新しい環境に馴染めなくて…。散歩って言って、出かけてばっかり」
「…ガキだな」
「うん。そう…ガキだった。受け入れてくれた事に感謝するよりも、不安でいっぱいの子供だった」

当然、それを放置するような人達ではなかった。
どうすれば馴染めるだろうかと悩み、考えてくれた優しい人達。

「猫かわいがりって、ああ言うのを指してるのかな…とにかく、凄かった」

軍に入るまでの間は、本当に大事にされた。
それは、エリシアが生まれても変わらなかった。

「それまでは、結構色々と危ない橋も渡ったんだけど…あの生活の為の準備期間だったのかな。
今だから、そう思えるよ」

そのすべてが自分を創り、そして今へと繋がっている。
些細な繋がりも、大切なものだったのだろう。

「さて、と!私の過去話はこれにて終了。続きは…また、機会があったら…ね」

エクソシスト / Destiny

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08.08.27