052.髪の毛切ったよ。
「おい」
「何?」
「何だ、その頭は」
「頭?あぁ………ちょっとね。鬱陶しかったから。これから夏だし」
「……………」
「高杉?」
高杉の指先が短くなった髪に触れる。
「…勿体無ェな」
まさか彼にそう言われるとは思わなかった。
言葉を失った彼女は、二・三度瞬きをする。
「で?何があった。誰かに切られたか?」
「…背格好がね、桂に似てるらしいから」
「…誰に言われた?」
「銀時」
「………」
「また無言?」
「…似てねェよ、馬鹿野郎。真に受けんな」
「えっと…ごめんなさい?って、どこ行くの?」
「野暮用」
去っていく高杉。
見送った彼女は、屋敷内の見取り図を思い浮かべ、彼の行く先を予想した。
「…ごめん、銀時。何か怒ってるっぽいけど……頑張れー…」
届かないエールを送る。
高杉晋助 / 朱の舞姫