047.かごめかごめ
―――かごめ かごめ
「…気持ち悪い…」
どこからともなく聞こえてきた童謡に、彼女は表情を顰めた。
自身を抱くように肩に手をやる彼女を見て、ラビが首を傾げる。
「ただの童謡だろ?」
「童謡ですけれど…この唄、あまりいい印象がありません」
―――籠の中の鳥は
溜め息と共にそう言えば、何故、と問う視線が向けられる。
「諸説あって…口減らしの為の儀式だとか、流産の唄だとか」
「…遊びの唄じゃなかったんか?」
「子供は知らないと思いますよ。
昔から語り継がれるものって、曰くつきのものが多いでしょう?」
―――いついつ出やる
彼女の答えに、若干口元を引きつらせるラビ。
そして、ふと今回の任務の内容を思い出した。
「ええ。恐らく…唄の意味を理解した上で、子供を攫っているんですよ。
神隠しのように、ひっそりと」
「うへぇ…嫌な任務さ、これ」
「薄気味悪いですね、本当に。こっちに来てまでこの唄を聞くことになるとは思いませんでした」
「こっちってことは…」
「この唄は、私や神田の故郷の童謡です。江戸生まれのアクマなんでしょうね」
―――夜明けの晩に
そう告げてから、彼女は自分のイノセンスを取り出す。
パラ、と閉じていた扇子を開き、薄く微笑んだ。
「懐かしい故郷の匂いに誘われてくるかもしれませんね」
―――鶴と亀と滑った
緋色の桜が描かれたそれからは、ふわりとその匂いが香っている。
ふわりと風を扇げば、生まれた桜花が宙を舞った。
―――後ろの正面だあれ?
突如背後に現れる気配。
目の前でラビが目を見開くのを見ながら、手に持った扇子をパン、と開く。
「つまらない儀式は、今日で終わりです」
ラビ / 東国の使徒