046.見つけた。
コウが居なくなった!!
慌てた様子で船に乗り込んできたルフィに、シャンクスを初めとするクルーたちが立ち上がった。
まずは船内、とそれぞれが隈なく持ち場を探す。
彼らの様子を見ながら、ルフィもまた、船内を走り回っていた。
「ルフィ、見つかったか?」
「見つからない!どうしよう、シャンクス!もしかすると海に落ちたのかも…」
「あー…そうか、コウは能力者だからカナヅチなんだな」
必死でシャツを握り締めてくる少年に、シャンクスは思い出したように呟きながら頬を掻く。
「ま、そこまで馬鹿じゃないだろ。どこかで昼寝でもしてるんだろ」
安心させるように笑い、彼の頭を撫でる。
彼女を守るんだと意気込んでいたとしても、彼はまだ子供だ。
行動の許される範囲も限られていて、どうにもならない事もある。
次はあっちだ、とクルーに指示を出すシャンクス。
彼の背中は大きかった。
日が暮れて、嫌だと駄々をこねるルフィを宥めて家に帰らせる。
コウはシャンクスの船に行くと言って行方がわからなくなっているらしい。
村から船までの道を隈なく探しても、彼女の姿はおろか、黒猫の姿も発見することはできなかった。
「ったく…あの姫さんはどこに行っちまってんだかなぁ」
ルフィの表情を思い出すと、部屋でのんびりなどしていられないと思った。
とりあえずもう一度船の中を一回りしたシャンクスは、甲板で雨に降られて服を変えるべく自室に向かっている。
ガチャリと自室のドアを開け、慣れた足取りで服を入れてある箱の前へと近付いていく。
―――にゃー…
どこからか、か細い声が聞こえた気がした。
空耳だと言うことも考えられたけれど、シャンクスは行動に移す。
声が聞こえた方…それは、自分が今まさに近付こうとしていた箱の方からだ。
そう広くは無い部屋を横切りながら、そう言えば…と考える。
「…朝、蓋を開けっ放してあって…昼間には閉まってたよなぁ…?」
蓋を開けたままにしておいてもいいように…と言うわけではないが、波の揺れなどで簡単に閉まるように作られている。
朝は開いていたそれが、昼間には閉まっていて―――コウが村を出たのは昼前。
―――おいおい、まさか…
シャンクスがコン、と木の箱を指で叩いた。
程なくして、カリカリカリ…と中から引っ掻くような音が聞こえてくる。
当たりだ―――軽く溜め息を吐き出しつつ、それの蓋を持ち上げた。
「見つけたぞ、コウ」
「シャン兄ー!!」
ぽーんと飛び出してきた黒猫がシャンクスの胸へとダイブする。
軽く6時間程度、箱の中に閉じ込められていたらしいコウ。
尤も、彼女はその内の5時間程度はすやすやと眠っていたのだが。
「ったく…ルフィが必死で探してたぞ」
「うー…ごめんなさい」
「朝一番に送ってってやるから、今日は船に泊まってけ」
「…ところで、何でこんな所に入ってたんだ?」
「ぽかぽかしてて気持ちよかったから…いつの間にか、寝ちゃってた」
「……………」
窓の付近に置かれた箱の中の服は、お日様のぬくもりを余す所無く受け止めていた。
シャンクス / Black Cat