041.真偽の程は?

「僕と付き合ってくれ!」
「ごめんなさい」

間髪容れずにはっきりとそう告げると、紅は校舎裏に背を向けた。
清々しいほどにすっぱりと玉砕した男子生徒は、そのまま石化したように動かない。
校舎に沿って曲がったところで、紅は呆れたように溜め息を吐き出す。

「何してるのかな?瀬那」
「ぅえ!?」

不自然な植え込みに向かって声をかければ、素直な彼はすぐに反応してくれた。
無言で誤魔化すなり、やり過ごすなり…他に方法はあるのに、と笑う。

「隣のモン太も、見つかってないなんて思ってないわよね?」
「う…!」
「ついでに…まもりまで」

何をしてるの…と呆れた溜め息を吐き出せば、三人揃って植え込みから姿を見せた。
まもりにいたっては、己の行動を恥じているのか頬を赤く染めている。

「だって…セナたちがどこかに行くから、気になって…」
「付いてきてみたら告白現場だった、と」

三種三様に頷く彼ら。

「別に見ていて楽しいものでもないでしょう?断るんだし」
「紅先輩は何で断るんスか?あれって、野球部のエースで、いつも人気で…」
「好みじゃないから」

モン太の言葉に即答する紅。
迷いのない言葉に、まもりがぽんと手を叩いた。

「あ、そっか。紅は前に年下が好みって言ってたね」
「年下じゃないと駄目って訳じゃなくて…好きになったら、その人がタイプだから」
「ってことは、紅先輩は年下に好きな人が…?」
「何!?」

紅がまもりと同じ2年生なのだから、年下といえば1年生の可能性がある。
同級生に紅の好きな相手が!?と興味津々のモン太。

「野球部ですか?サッカー部ですか?」
「いや、モン太…部活をしているとは限らないよ」

一体誰が紅の心を掴んでいるのか。
次から次へと予測を立てていく彼らに、紅は不敵な笑みを零した。

「紅先輩!真偽の程は!?」
「さぁ、どうでしょう?」




「紅…また告白された?」
「何で?」
「手紙。鞄からはみ出てる」
「あらま。手紙だけで内容がわかるとは…陸の洞察力も捨てたものじゃないわね」
「………男の字で表書きがされてれば、嫌でもわかるって」
「それもそうねー。はい、どうぞ」
「ん。いただきます」
「召し上がれ」
「………でもさ、紅も捨ててきてくれればいいのに」
「えー?捨てたら陸が気付いてくれないじゃない」
「…俺に気付かせたいわけ?」
「うん。妬いてくれるでしょ?」
「……………」
「それに、ちょっとだけ拗ねた陸の顔が好きなのよね。ね、今日のは自信作なの。美味しい?」
「…何か、俺餌付けされてる気がする…。美味いけど」
「気のせい気のせい」

泥門+甲斐谷陸 / 向日葵

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08.10.01