039.馬鹿野郎。

「来たけど?」
「おう。ちょっとそこに座れ」

戦後、身を清めてから銀時に呼ばれ、彼の自室へとやってきた。
彼の言いたい事はわかっているけれど、とりあえず言われた通りに彼の前に置かれた座布団の上に正座する。

「お前に聞きたいことがある」
「だろうね」
「回りくどい事は言わん。これのことだ」

いつになく真剣な顔をして、彼はこれ、と自身の頬を指した。
そこには、立派な紅葉…ではなく、手の形の赤い痕。
女にちょっかいを出して張り手を食らった男―――そんな状況が出来上がっている。

「立派な紅葉だな」
「あぁ、そうだな。誰の所為だ?」
「…銀時?」
「お前だろうが!」

惚けているわけではない。
原因の元を質していけば、いずれは彼へと辿り着くのだ。
尤も、本人は意識がなかったようだが。

「お前っ…何でそんなに冷静なんだ!?見ろよ、この立派な紅葉!!振られた男のステイタスみたいになってるじゃねーか!」
「…似合ってるからいいんじゃないか?」
「馬っ鹿野郎!顔を合わせる奴全員から哀れみの篭った目で見られるんだぞ!」
「あー…」

そりゃそうだろう。
気のない返事にますますテンションの高くなる銀時。
正直、戦で疲れていて今にも布団と仲良くなりそうな自分にはこのテンションは辛い。

「敵の幻覚に引っかかったんだから、仕方ないじゃん」
「いや、それは…お前、アレだ。わざと引っかかったフリをして…」
「はいはい。じゃあ、皆に説明しておくよ。アレは俺が引っ叩いた所為だから邪推するなって」
「……………いや、それもまずいだろ。俺がお前に手を出してやられたみたいじゃねーか」
「幻覚に惑わされた誰かさんに押し倒されたのは事実じゃなかったっけなー…」
「…………………………」
「今は誰にも話してないけど…うっかり口を滑らせそうだなー…高杉の前とか」
「ごめんなさい」

深々と土下座する銀時に、クスリと笑う。
これ以上は気の毒だし、そろそろやめることにしようか。

「ま、そう言うことだから…お互い、貝になるってことで」
「…おう」

坂田 銀時 / 朱の舞姫

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09.01.09