037.恋愛方程式
「想った分だけ想い返してもらえるなんて甘い考えなんやろか…」
「…何だよ、急に」
「聞いたってや、タツボン」
「……………」
「暁斗な、最近俺からの電話放置しよんねん。用があってかけてんのに、酷いと思わん?」
「いや、別にいいんじゃないか?」
「酷っ!!今日の試験範囲の確認やのに、返事くれんだら困るやん!」
「…自業自得だろ、それ。
普段からお前のお守りで大変なんだ。前日くらい勉強に集中させてやれよ」
「お守りって…俺そんな迷惑かけてへんし!」
「お前の突飛な行動を抑えてくれる暁斗には本当に感謝してるよ、俺は」
「俺の行動には全部ちゃんと意味あんねんで」
「あー…わかったわかった。でも、お前も即レスタイプじゃないだろ。文句言うなよ」
「タツボンのは放置しても、暁斗のは3分以内にレスしとるわ!」
「………逆に鬱陶しいな、それ」
「タツボン!?」
「―――っちゅー話を、昔にタツボンとやったんを思い出したわ」
「へぇ…竜也の苦労が手に取るようにわかるね」
「そんなええ笑顔で言うことやないわ、それ…」
「第一、竜也は友情的な面で考えてたんだろ?
男同士でそんな風に即レスしてたら…そりゃ、鬱陶しいね」
「!」
「…何、その『今思いつきました』って顔」
「いや、そのまんま。そっか…せやったわ。タツボンはまだ知らんかったんやな、あの時」
「竜也の目には、さぞかしうざい男に見えたと思うよ、お前は。友達であることを悩んだだろうね」
「…そこまで言う?」
「それにしても…想った分だけ…か」
「何や、その話題に戻すなんて珍しいやん。その手の話題は全部流されんのに」
「いや…私なりには返していたつもりだったんだけど、伝わってなかったんだと思っただけだよ」
「…そうなん?」
「所詮は他人同士。ものさしの違いと言うわけだ。
想いの大きさに大なりも小なりも必要ないってことだね。
必ずイコールで結ばれないと言うことも、また然り」
「…えらい哲学的な話になってきたな…」
「こんなのを哲学とは言わないよ。どちらかと言えば…小学生でも知ってる、算数だ」
「イコールで結べたら楽でええのに」
「同じ分だけでいいわけ?」
「…あかんわ!自分の女をベタベタに甘やかすんは男の特権やん!」
「はいはい。十分甘やかされてますから。これ以上は要らん」
「そんな酷いこと言わんとってや」
「…調子、戻ってきたな」
「おう!紅のお蔭でシゲちゃん復活や!お礼に、今日の夕飯は俺が作ったるで」
「そりゃ契約違反だ。その代わり、明日の夕食は期待してる」
「相変わらず硬いわぁ。ま、それが紅らしいな」
佐藤 成樹 / Soccer Life