034.計画実行

組み立てられた計画の内容に目を通していた彼女は、ふぅ、と息を吐く。
この程度の任務に、計画など必要なのだろうか。
そもそも、この人数での任務―――明らかに、人員過多だと思う。
そんな彼女の冷めた目に気付いたスクアーロが口を開いた。

「おい」
「(…ヴァリアーって個人ではあまり動かないのかしら…。意外だわ。)」
「…おい」
「(どちらにせよ、この人数は人員の無駄よね。標的から1500メートル地点には狙撃場所もあるし…そこから狙えば一人でも十分に完了できる任務なのに)」
「おいっ!!」
「…はい!」

手渡されたそれを見下ろしていた彼女は、呼ばれていたことに気付かなかった。
バッと顔を上げた拍子に、任務書がばさりと床に落ちる。

「言いたいことがあるなら口で言え」

いいえ、ありません。
そう返してくるだろうと思っていた彼は「構わないのですか?」と言う言葉に軽く目を見開く。
発言の許可を求める眼差しに頷くと、彼女は拾った任務書を見ながら口を開いた。

「1500メートル地点が狙撃不可とされている理由と、この人数を動員する理由がわかりません」
「…その地点から標的が見えるのは、30センチ四方の小窓からだ。窓の高さは180センチ」
「…標的の身長を考えると、見えるのは目から上だけですね」
「―――狙えるのか?」

臆した様子もない彼女に、そう問いかける。
彼女はその問いかけに、強気な目を見せた。

「ガンナーと呼ばれるからには、ライフルの一つも使いこなせないといけませんから」

返答は是。
初めての任務に対しての不安や迷いは見当たらない。
スキルがわからない以上、彼女の腕を過信する事は不本意だが…もし、それが可能ならば。
この人数を動員する意味はない。
彼女の腕に賭けてみるのも面白い―――スクアーロは口角を持ち上げた。

「失敗したらどうする?」
「単身で忍び込んで片を付けます。ありえませんけれど」
「…なら、やってみろぉ」

彼は手近にあったライターを手に取り、任務の計画書に火をつけた。
そして、燃え始めるそれを灰皿の中へと放り込む。
計画書は消えた。
残っているのは、彼女の頭の中にある筋書きだけ。

「ヘマすんなよぉ」
「朗報をお届けしますよ」

赤いルージュで笑みを作った彼女は、普段はあまり使わないライフルの準備の為に部屋を出て行った。
スクアーロの携帯に任務完了報告が入ったのは、その6時間後のことである。

スクアーロ / Bloody rose

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09.01.06