032.煙草
「ねぇ、獄寺」
「…んだよ?」
「いつから煙草吸ってんの?」
「………忘れた」
「ふぅん…。あ、そこはこっちの薬品。ごめんね、ラベル貼ってなくて」
「貸せ」
「ん?」
「…っ貸してくれ」
「はい、どうぞ。
って言うか、ダイナマイトを作る作業中に煙草を吸おうって言う根性が凄いわ」
「俺がそんなヘマするかよ」
「…それが過信にならないことを祈るわ」
「うるせー」
「…知ってる?」
「……………」
「煙草ってね、吸ってる人よりも、周囲に居る人の方が被害が大きいのよ」
「…それがどうした」
「この暑苦しい季節に、クーラーも付けずに部屋の窓を開けてるのはその所為」
「…悪かったな」
「心無い謝罪をありがとう。ところで、あなた…ツナの前でも吸ってるわよね。
それって、あの子の身体に害を与える行為だって事…理解してる?」
「!」
「本人はね、嗜好の問題だし、仕方ないと思うのよ。
でも、大事な人の前では控えた方がいいわよ」
「………」
「成長期なんだし、これを機に少しは控えなさいな。
大事なツナに長く仕えたいなら、尚更。彼の為に減らす―――そんな考えも悪くないでしょ」
「………あぁ」
「よし」
「…吸うな、とは言わねーんだな」
「ん?だって…煙草を吸っている姿は格好良いと思うからね。少しなら、いいんじゃない?」
「―――――」
「え、何。照れてるの?」
「うるせぇ!!」
「あらー…可愛いところもあるのね」
「黙れ!ぶっ飛ばすぞ!」
「あぁ、そのダイナマイト…火をつけない方がいいわよ。
さっき、薬品を間違えてたみたいだから。つけた途端にその場で爆発よ?」
「!?」
「―――ま、冗談だけどね」
「てめーッ!!!」
「だって、暇なのよ。
折角の休みに出かけようと思ったのに、誰かさんが薬品を貸せって乗り込んでくるから」
獄寺隼人 / 黒揚羽