018.レモンの飴玉
「ねー」
「何?」
「飴、舐める?」
「何の?」
「んー…ノンシュガーの飴。味はいちご、ぶどう、オレンジ、りんご、桃…レモン」
「…何が残ってるの?」
「………とりあえず、一通りは」
「じゃあ何でも良いよ」
「はいよー。投げるから受けてねー」
「って!ちょっと!振り向く前に投げる!?」
「翼さん、人と話す時は目を見て話ましょうって事ですよ」
「………ちょっと。この飴、半分溶けてるんだけど」
「あー…世の中暑いからね、仕方ないよ」
「…ハァ…」
「そう言えばさ…」
「今度は何」
「ファーストキスはレモン味って言うじゃない?」
「……………」
「ちょっと、呆れた顔しないでよ」
「で、それが?」
「仮にレモンを食べてたとして…その味がわかるキスって、どうなの?
普通、初めは軽いキスでしょ?」
「…俺に聞かないでくれる?」
「………ね、翼。もう一回だけこっち向いて?」
「………………」
「翼ー」
「…………何?そろそろ雑誌に集中―――」
「味、する?レモンの飴を舐めてたんだけど」
椎名 翼 / 夢追いのガーネット