きっとずっと永遠に
60万Hit感謝企画
ふと見上げた空は澄んでいた。
他愛ない言葉を交わして、二人で笑う。
頬にかかる風もとても心地よい。
今この時が、永久に続けばいいと思った。
「こんな所に居たのか」
閉じた瞼に影がかかる。
同時に耳に届く声は、ルキアの物だった。
ゆっくりと開いた視界には彼女の呆れた様な…それで居て楽しげな表情が入り込む。
「ルキア」
名前を呼べば、彼女は微笑んだ。
未だに笑顔と言う物は慣れないのか、どこかぎこちない。
それでも、紅にとっては嬉しかった。
「どうしたの?」
紅は寝かせていた身体を起こして問う。
彼女の隣に腰を降ろしながら、ルキアは「別に」と答えた。
「ただ、天気がよかったからな。おぬしならサボっておるだろうと思って…探した」
「そっか。ごめんね、いつもの所に居なくて」
「まったくだ。兄様に見つからないか冷や汗ものだ」
肩を竦めるルキアの言葉は本心だろう。
紅と知り合ってからの彼女は変わった。
「白哉さんに見つかったら…どうなるのかな?」
「………か、考えたくもないっ!」
フルフルと頭を振って汗を流すルキア。
そんな彼女に紅は声を上げて笑った。
「そんなに怖いなら私に付き合ってくれなくてもいいよ?」
照りつける日差しよりはいくらか優しい日の光を浴びて、紅は目を細める。
汗ばむほどの陽気ではなく、どちらかと言うと過ごしやすいだろう。
「ルキアに無理させるのは嫌。だから ―――うあっ!」
紅が慌てたような声を上げる。
彼女の髪をルキアが勢いよく引いたのだ。
油断していた…と言うよりは完全に無防備だった紅。
成す術なく、彼女は背もたれのない長椅子から落ちた。
「いたた…。ルキア…何すんのよ…」
軽く打ちつけたらしい腰の土ぼこりを払いながら、紅は恨めしそうな声を上げる。
「……者」
「…ルキア?」
小さくて聞き取れなかったルキアの声。
いつもとは違う彼女の様子に紅は顔を覗き込ませた。
「莫迦者!」
きっと睨みつけるようにルキアは声を上げる。
その勢いに驚いた紅は目を見開いた。
「私が付き合いでおぬしと一緒にサボっていると思うのか!」
「ル、ルキアさん?」
「兄様に怒られるに決まっているのにそんな愚かな行動を取るわけがないだろうが!」
「…あのー…」
「私は他人の為にそこまで出来るほどお人よしではないわ!」
「………」
途中で口を挟むのを止めたのか、紅は黙ってルキアの訴えに耳を傾ける。
僅かに頬を高潮させる彼女は真剣だった。
「おぬしが…紅が友人だと思うからこそ…こうしてここにいるのだ…。嫌なはずがないだろう…」
「……うん、そうだね」
ルキアの言いたい事はわかった。
紅はそれを悟り、頷く。
そして嬉しそうに微笑み、ポンポンと自分の横のスペースをたたく。
怒鳴っていた勢いで立ち上がっていたルキアは大人しくそこに腰を降ろした。
「嬉しいよ。ルキアがそう思ってここに居てくれてるなら」
「…当然だろう」
「うん。当然だと思ってくれてる、その気持ちが嬉しい」
そう言って笑う紅に、ルキアは苦笑を浮かべた。
「紅はいつもそうだな」
「何が?」
「いつも私に吐き出させるんだ」
「…溜め込むのはよくないよ。全部吐き出しちゃったら楽になるんだし」
「そうして……」
――― そうして私を受け入れてくれるから。
だから、離れられない。
ルキアは心の中でそう思った。
「“そうして”?」
紅は首を傾げて次の言葉を待つ。
しかし、ルキアは「何でもない」と首を横に振った。
ふと彼女は空を見上げる。
紅もルキアと同じように空を仰ぐ。
真っ青の空に鳥が羽ばたいた。
「私はお前の友人でいられるだろうか…」
不意に漏らした言葉に、紅は驚いたように彼女を見る。
依然として上に固定された彼女の視線を受ける事は出来なかった。
「当然でしょ。ルキアは私の友達。どれだけ離れても、時が経っても…これは変わらないよ」
「…そうだといいな」
「あのねー…」
紅は呆れたように溜め息をつく。
それに反応してこちらを向いたルキアの額にデコピンをかました。
心地よい音と共に彼女の白い額に赤い点が残る。
「“そうだといいな”じゃなくて“そうする”のよ。自分の望みくらい自分で叶えなくてどうするの」
少しだけ怒ったような口調で紅はそう言う。
呆気に取られるルキアを他所に、彼女は続けた。
「大体ね、私達の友情は一方通行じゃないの。だからルキアが離れたくても無理なんだよ」
「……勝手だな」
「自覚はあるよ」
「でも、紅らしい」
「…褒めてる?」
「無論だ」
表情を取り戻したルキア。
紅は彼女にわからぬように安堵の息を漏らした。
ルキアはもう少し我儘でもいいと、紅は思う。
「ところで…」
暫しの間沈黙していた紅は、思い出したように口を開いた。
何事か?とルキアは彼女を見る。
紅はにっこりと笑みを作って続きの言葉を紡ぐ。
「気がつけばもうすでに一時間経ってるよね」
空と同じように真っ青になったルキアは可愛かったと、後に紅は語る。
この時が続けばいい。
そう思っていた。
けれども、今は思う。
彼女との関係が、ずっと続いていけばいいと…いや、続けたいと。
誓いにも似た、優しくて温かい感情だった。
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05.08.11