廻れ、

- 廻 れ 、 廻 れ 。  時 空 よ 、 廻 れ -

-- 035.5 --

「佐助」
「はいはい?」
「この世は無情だ」
「そうだな。でも、紅さんが言ってただろ。俺達はこの乱世を生きていく―――それだけだ」
「わかっているが―――」






佐助は去っていった幸村を思い出し、ふぅと溜め息を吐き出した。
そして明るい色の髪を掻き揚げ、肩を落とす。

「これからって時に…厄介な人と出会っちまったもんだね、ホントに…」

佐助は氷景が身を寄せていた国が奥州であることを知っている。
そして、紅が心の中に住まわせている人物が誰なのかも。
だからこそ、主人を思えば遣る瀬無い想いが込み上げてきた。
手が届かないほど遠いわけでもなく、寧ろ酷く近いのに、触れる事を許されない。
それなのに、何故か目を惹き付けて止まない。
まるで霧の中に見る幻影のような存在だった。

「先に出会っていれば―――か」

呟いた声は頼りなく空へと掻き消えた。

07.04.07