廻れ、
- 廻 れ 、 廻 れ 。 時 空 よ 、 廻 れ -
-- 016.5 --
「まったく…政宗様も人が悪い。伊達の戦姫はあなたが広めさせた噂でしょう」
「は!細かい事を気にすんなよ」
「それに…彼女が戦場に出ないとなると、戦が長引く事は必至。あのような約束をしてもよろしかったのですか?」
「あいつは覚悟を決めて帰って来る。なんなら、賭けるか?」
「ご冗談を」
「賭けになんねぇ、だろ?」
得意げにそう笑うと、彼は着衣を翻す。
そして、いつの間にか後ろに居た人物に向けてその口角を持ち上げた。
「おらよ。『血の止まらない怪我をしている奴は使え』だとさ」
紅から渡されたそれを投げ、彼はそう言った。
それを受け取った人物は口元に苦笑を浮かべる。
「まさか、気付かれてるとは…」
「侮れねぇだろ」
「全くだ」
「…行くのか?」
「そう言ったのは誰でしたっけね。ま、今回が最後の命令だし…ちゃんと任務は遂行するからご心配なく」
「その分だと、伊達軍のもう一人の放浪野郎も、漸く決めたらしいな」
「はは!その汚名も返上って事で。んじゃ、行くとしますか」
その言葉の後、まるで掻き消えるように、その人は消えた。
金木犀の香りと、それに交じるように微かに感じる血のそれを残して。
07.02.25