廻れ、
- 廻 れ 、 廻 れ 。 時 空 よ 、 廻 れ -
-- 015.5 --
「名前…考えないと」
ご満悦の様子で囲いの中を闊歩する青毛の馬を見ながら、紅はそう呟いた。
そんな彼女に政宗が答える。
「あんまり深入りするなよ。戦場で馬が生き残れる可能性は低い」
「そうですね。………でも…彼は生き残るような気がします」
「…奇遇だな、同意見だ」
何と言うか…。
あくまで、『気がする』程度なのだが。
それでも、あの馬は戦場でも生き残るように感じてならない。
根拠も何もなく、自分の勘でしかないけれど。
「…長い付き合いになる気がします」
紅はふふ、と満足げに笑った。
よほど相性が良かったのか、遠乗りから帰ってきた彼女は酷く機嫌が良いようだ。
馬が馬なら乗り手も乗り手だな、と思う。
何にしようかなぁ、と楽しそうな声を聞けば、そんな事はどうでもよく思えてくるけれど。
「名前と言えば…。呼び方は何とかなりませんか?」
「呼び方?“紅”ってのが気に入らねぇのか?」
「いえ、殿の呼び方は構わないのですが………姫ではありませんので」
こんなやんちゃな姫もないでしょう、と苦笑する彼女に、納得する。
そう言えば、初めの頃は悠希に『紅姫』と呼ばれる度に顔を顰めていた。
今は徐々に慣れてきているようだが…彼女からすれば、その慣れも気に入らないのだろう。
「呼び方くらい好きにさせとけよ」
「でも…姫、なんてガラじゃありませんから」
「………わかった。一応話しておいてやるが…あいつの事だ、すぐには変わらねぇぞ」
「構いません。ありがとうございます」
「よし。………虎吉にしよう」
「おいおい。馬だぞ」
「分かってますよ?でも、ほら。この目元とか、虎っぽく見えません?」
「…草食動物と肉食動物を一緒にする奴ぁ初めて見たな…」
07.02.23